PFマフラーとは
**ディーゼル微粒子捕集フィルター(Diesel Particulate Filter、略称:DPF)**は、ディーゼルエンジンの排気ガス中の粒子状物質(PM)を漉し取り、軽減させるフィルターです。
このDPFは現在走行しているディーゼル車のほとんどに搭載されており、国の排ガス規制の基準値を上回る微粒子を排出しないようにするために必要不可欠なフィルターです。
エンジンから出た排気ガスがDPFを通過する際に装置内の触媒が微粒子物質を捕集する事により排気ガスに含まれる微粒子を除去する仕組みになっています。
ディーゼルエンジン排気ガス内の粒子状物質は、人間が吸い込むと呼吸器を中心に健康被害を引き起こすことが懸念されています。そのため、条例で定められた規制をクリアするために、ディーゼルエンジンへのDPFの装備が広がりました。
日本におけるDPFマフラーの普及のきっかけ
日本でDPFマフラーが普及しだしたのは1999年の東京都の【ディーゼル車NO作戦】が大きなきっかけでした。
この東京都のキャンペーンは首都圏の大気汚染の一因であるディーゼル車の排気ガスに狙いを定め、独自に定めた“PM(粒子状物質)排出基準値を満たさない車両の指定区域内走行を禁止する”など当時としてはかなりインパクトのある条例でした。
その条例の柱となる規制が
「大型貨物車やバス等へのディーゼル微粒子除去装置の装着義務づけ
でした。
このキャンペーンに、初め首都圏3県が同調し、それから間もなく大阪、愛知など地方都市へと波及しました。
現在の日本では世界最高レベルの「平成30年規制」が適用されており、ディーゼルエンジンから排出されるPMの排出量の削減に成功しました。
世界的なDPFマフラーの普及の状況と排ガス規制
ヨーロッパ
ヨーロッパはディーゼル車の普及率が高く、また、環境問題への関心が最も高い地域です。
排ガス規制への取り組みも先進的で、EU初の排ガス規制となる「ユーロ1」が始まったのは1992年であり、2014年のユーロ6まで段階的に条件が引き上げられていきました。
さらに世界一厳しい排出ガス規制「ユーロ7」が2028年頃から導入される予定です。
そのため、ユーロ圏ではほとんどのディーゼル車にDPFが標準装備されています。
北アメリカ
アメリカやカナダでも、排出ガス規制が強化されており、DPFの装着が一般的です。特に商用車やトラックにおいては、DPFが標準装備されています。
アメリカで2017年に導入されている排ガス規制「Tire3」はユーロ6に比べ規制値がやや甘いですが、2027年から段階的に導入される「Tier4」は現在の世界最高水準を遥かに上回る厳しい規制値が設定されています。
その基準を満たすためにはエンジンに取り込む空気よりも綺麗な空気を排出する必要があり、各メーカーは新基準に適合するエンジンの開発にしのぎを削っています。
アジア
日本、中国が厳しい排ガス規制やDPFマフラーの義務化をリードしていますが、ほかの国々ではまだまだ法整備が進んでいないのが現状です。
中国では、2020年に導入された排ガス規制「国6A」に続く新基準「国6B」が発表され、「ユーロ6」と同等レベルの規制値が設定され、基準に満たない車両の製造、輸入、販売が禁止されました。さらにEV車への移行を推進しており、旧エネルギー車から新エネルギー車へ乗り換えると1万元(20万円)の補助金を出すなど、エネルギー転換によって排気ガスの総排出量を抑えようとしています。
日本では、東京都が1999年に「ディーゼル車NO作戦」を展開し、DPFの装着が義務付けられたことがきっかけで、全国的に普及が進みました。 2018年には「平成30年規制」と呼ばれる「ユーロ6」並みの規制値を設定しており、世界基準の排ガス規制に取り組んでいます。
地域 | 規制の名称 | 窒素酸化物 | 一酸化炭素 | 粒子状物質 |
Nox | CO | PM | ||
ユーロ圏 | ユーロ6 | 0.06 | 0.5 | 0.0045 |
北米 | Tier3 | 0.05 | 1.15 | 0.005 |
日本 | 平成30年規制 | 0.09 | 2.61 | 0.006 |
~最後に~
2010年代以降、世界中で厳しい排ガス規制が進められ、EV自動車など新たなエネルギーへの転換も始まっています。
日本の自動車産業も厳しい環境対策への対応を迫られています。
それは大企業だけではなく、私たち個人レベルでも考える必要がある問題だと言えます。
環境を壊さない車とは何なのか、自分の乗っている車の排気ガスは綺麗なのか、車の選びかたは間違っていないか。
この記事を読んでくださった皆さんが自動車業界の変化に関心を持つきっかけになれば幸いです。
これからも世界の環境への取り組みについて情報収集し、発信を続けていけたらと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。